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JR東日本 大宮信号通信設備技術センター
デジタルツインを基準とする設計思想への転換〜TRANCITYを使った鉄道信号・ホームドア設計の業務フロー構築〜

TRANCITY Nebula #鉄道

【サマリー】

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)大宮信号通信設備技術センターでは、信号通信設備に関する調整・設計業務における省力化と働き方改革を推進するため、デジタルツインプラットフォーム「TRANCITY」を導入しました 。 従来、現地で測量した位置を基準として夜間に行っていた踏切障害物検知装置やホームドア停止位置目標の位置出し・設計業務に対し、「デジタルツイン空間で決めた位置を基準とする」という新しい設計思想を取り入れた業務フローを構築 。 これにより、踏切障害物検知装置の設計業務が大幅に省力化されたほか、従来は夜間現地で行っていた計2駅50箇所のホームドア停止位置目標の新設位置出しをすべて昼間の立会いで実施可能にするなど、業務効率化と省人化を達成しました 。

  • 【課題】 従来の踏切設備やホームドア等の信号通信設備に関する調整・設計業務では、現地で測量した位置を基準としていたため、夜間現地での測量や位置出し、立ち会いが必須であり、実務者の労力と時間の負担が課題となっていた 。
  • 【解決策】 TRANCITY上に点群データを配置し、3Dモデルを掛け合わせて線路・架線との離隔や建築限界を机上検討・調整する仕組みを導入 。さらに、関係者にアカウントを発行して「デジタルツイン空間で決めた位置を基準」として現地に反映する業務フローを構築した 。
  • 【効果】 踏切障害物検知装置の設計業務が大幅に省力化 。また、計2駅50箇所のホームドア停止位置目標の新設位置出しにおいて、従来は夜間現地で行っていた立ち会い調査をすべて昼間に実施できるようになり、地上子設置までの設計期間を最大5ヶ月短縮するなど、設計業務の効率化と働き方改革を実現した 。

1. 課題:現地・夜間測量を前提とした従来の信号通信設計業務と、実務者の負担

鉄道の信号工事やホームドア関係の調整・設計業務(器具箱取替、地上子設計、踏切拡幅など)において、従来の信号通信設備に関する業務フローは「現地で決めた位置、測量した位置を基準」としていました

そのため、踏切障害物検知装置の新設や、ホームドア停止位置目標および地上子の位置出しを行うには、夜間に現地へ赴いて測量や立ち会い調査を重ねる必要がありました 。さらに実務者は、現地調査のたびに「現地写真にパワーポイントで図形を貼り付けた資料」を作成・整理しなければならず、働き方改革や省人化に向けた「実務に直結する実質的な業務フローの変革」が求められていました

2. 解決策:「デジタルツインを基準」とする新しい信号通信業務フローの構築

この課題に対し、大宮信号通信設備技術センターでは、2024年6月よりTRANCITYを用いた業務フローの構築に着手しました

まず、踏切障害物検知装置の新設設計において、TRANCITY上にレーザースキャナー等で取得した点群データを配置し、そこにAutoCADで作成した3Dモデルを重ね合わせる手法を導入しました 。これにより、装置の検知エリアと線路・架線との離隔、および建築限界の干渉検知をインターネットブラウザ上の机上計画で同時に検討できるようになりました

さらにこの取り組みをホームドアの設計・調整業務へと展開 。TRANCITYをただの表示・測量ツールとして使うのではなく、複数の関係者(他系統の設計者や設計会社)にアカウントを発行してクラウド上で直接調整を行うツールとして活用しました 。 最大の変化は、「デジタルツイン空間で決めた位置を基準」とし、机上で調整・設計した結果を後日現地に反映して位置出しを行うという、逆転の設計思想を取り入れた業務フローを確立した点にあります

3. 効果:夜間立ち会いの昼間移行と、信号通信設計期間の短縮

TRANCITYを用いた新しい業務フローの導入により、踏切障害物検知装置の設計における夜間の測量や現場調査の回数が減少し、設計業務の大幅な省力化につながりました

ホームドアの設計・調整業務では、計2駅50箇所のホームドア停止位置目標の新設に際し、机上でのシミュレーションを活用することで、従来はすべて夜間に行っていた現地立ち会い調査を、すべて「昼間の立ち会い(見張り体制)」で実施できるようになりました 。TRANCITY上で調整したデータと現地の位置出し誤差は1cm未満の高い精度を担保しています

これらの取り組みによって机上計画からホームドア停止位置目標の位置出し、地上子測量にいたる設計期間が大幅に短縮され、従来は地上子設置までに「10〜13ヶ月」要していた全体のプロセスが「〜8ヶ月」にまで圧縮され、最大で5ヶ月の期間短縮を達成するなど、具体的な省人化と働き方改革に繋がりました

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